中学生の筋トレは良くない?成長期に配慮した正しい運動法を解説

「筋トレをすると身長が伸びなくなるって本当?」「子どもに筋トレをさせても大丈夫?」・・。部活動やスポーツ塾に通う中学生が増える一方で、保護者や指導者の間ではこんな疑問や不安の声が多く聞かれるようになっています。

実際のところ、中学生の筋トレには「良くない」とされる要素もあれば、正しく行えば大きなメリットも存在します。

本記事では、成長期の身体に配慮した筋トレのリスクと、推奨される安全なトレーニング方法について詳しく解説します。

 

成長期に過度な筋トレが良くない理由とは?

骨や関節が未発達な時期に注意が必要

中学生の身体はまだ成長段階にあり、骨や関節、腱などの組織が十分に成熟していません。

この段階で高重量のダンベルやバーベルを使った筋力トレーニングを行うと、成長軟骨に過剰な負荷がかかり、障害を引き起こすリスクがあります

特に「脊柱(せきちゅう)」「膝関節」「股関節」など、負荷を受けやすい部位に痛みや違和感が出やすく、将来的なスポーツ障害につながる恐れもあります。

「身長が伸びなくなる」は医学的根拠が薄いが…

「筋トレをすると背が伸びなくなる」という噂はよく聞かれますが、適切な負荷とフォームで行えば身長の伸びを妨げる科学的根拠はないとする見解が主流です。

ただし、「過度な筋トレ」が骨の成長線(成長板)にダメージを与える可能性は否定できません

そのため、中学生のトレーニングは筋肥大よりも体力づくりやフォーム習得を目的とした“自重トレ”中心が安全です。

 

専門家の見解:「やっていい筋トレ」と「避けるべき筋トレ」

小児整形外科やスポーツ指導のガイドライン

日本整形外科学会や日本小児保健協会では、中学生以下の筋トレについて以下のような指針を出しています。

  • 高重量トレーニング(ベンチプレス、デッドリフト)は原則禁止
  • 正しいフォームの習得と自重トレーニングは推奨
  • トレーニング前後のストレッチ、十分な休息、栄養が不可欠

NG例:中学生には危険な筋トレ

  • バーベルスクワット
  • 高重量のダンベルカール
  • 首に負荷をかけるトレーニング(例:シュラッグ)

これらは骨端線への負担が大きく、怪我のリスクが高いため避けるべきです。

 

成長を助ける!中学生に適した安全な筋トレメニュー

では、どのような筋トレであれば中学生にとって安全かつ効果的なのでしょうか?以下に代表的な例を紹介します。

自重トレーニング例(週2〜3回推奨)

種目 目的 回数/セット数 注意点
プランク 体幹強化 30秒〜60秒×2 腰を反らせないこと
スクワット(自重) 脚力・体幹 15回×2〜3 膝をつま先より前に出さない
腕立て伏せ 上半身の基礎筋力 10〜15回×2 肘の角度・姿勢を意識

特にフォームの正確さを重視し、回数を競わないことがポイントです。

種目別:部活動に応じたアプローチ

  • 【サッカー部】→ 片脚スクワット・サイドランジ
  • 【野球部】→ 背筋・チューブトレーニング
  • 【柔道・相撲系】→ ブリッジ、体幹強化系メニュー

部活に合ったトレーニングで、競技力向上と怪我予防の両立が可能です。

 

成長期に大切なのは「筋トレ+生活習慣の質」

筋トレだけでは効果が出ない理由

筋トレを安全に行っても、栄養・睡眠・ストレス管理が整っていないと逆効果になる場合もあります。

成長ホルモンの分泌は睡眠中に活発になるため、最低でも7〜8時間の睡眠が必要です。

また、たんぱく質・カルシウム・ビタミンDなどの栄養素を意識的に摂取することで、筋トレによる体力強化が成長にも良い影響をもたらします。

 

よくある質問

Q1:筋トレで筋肉がつきすぎて太くなりませんか?

A1:成長期の筋トレは筋肥大よりも「神経系の発達=運動能力向上」が主な効果で、体が太くなる心配はほぼありません。

Q2:市販のプロテインは飲ませても大丈夫?

A2:基本的には食事からたんぱく質を摂るのが優先。どうしても不足する場合は、低糖・低脂質・中高生向け設計の製品を選びましょう。

 

まとめ:中学生の筋トレは「正しくやれば効果大」

中学生の筋トレが「良くない」とされるのは、誤った方法や過剰な負荷による健康リスクを懸念してのことです。

しかし、成長期の身体に配慮しながら、正しいフォームと自重中心のトレーニングを取り入れれば、筋トレは以下のような大きなメリットをもたらします。

  • 競技力や体力の向上
  • 姿勢や集中力の改善
  • 将来に向けた基礎的な身体づくり

親御さんや先生方は、筋トレの“リスク”ばかりに目を向けず、安全な方法での導入と見守りを心がけましょう。